相続が発生し、遺言書がない場合には相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を取得するのかを決めなければいけません。その際に親族間で争いが起こり深刻な問題に発展するケースもあります。 遺言書は、このような問題を起こさない為に自分の死後に残る財産を誰にどのように分けるか等を、生前に書き記しておくものです。
遺言書がある場合は被相続人の遺言の内容に従って遺産を相続させる事ができます。すべての人が遺言書作成をすることが望ましいですが、下記のような場合は特に必要性が高まります。
また法定相続人に遺産を渡したくない場合にも遺言書は有効となります。
ただし配偶者、子及び直系尊属には「遺留分」という権利があり法定相続分の1/2の主張が認められています。
このように遺言書には親族間の無益な争いをさける目的以外に、自分の想いを相続に反映させる使い方もあるのです。
遺言がないときは、相続人しか遺産を取得できません。しかし、遺言があれば、相続人以外にも財産を渡せます。お世話になった人に財産を渡したり、国・地方公共団体・公益法人などに寄付をすることもできます。
特定の相続人に相続分以上の財産を取得させることができます。例えば、相続人が子3人の場合に、「長男に遺産の1/2を相続させる」と記載すれば、この場合の法定相続分である1/3以上の財産を取得させることができます。
誰に何を相続させるかといった取得財産の指定ができます。「土地は長男に相続させる」、「預金は長女に相続させる」とあれば、その通りにできます。
婚姻関係がない女性との間の子や内縁の妻との間の子は、父親から認知されないと相続人にはなれません。存命中は、家族との関係で認知できない場合でも遺言書に書くことで死後でも認知ができます。
遺言を執行するにはさまざまな手続きや事務処理を行う必要があります。登記の申請や引渡しの手続き、不動産を遺贈する場合など、複雑で手間のかかる手続きがある場合は、遺言執行者に専門家を指定されていた方が、スムーズに遺言の執行を進めることができます。
遺言書では財産の配分だけではなく気持ちを伝えることもできます。感謝の気持ちや遺言内容にいたった経緯、背景なども書くことができます、財産を少ししか渡せなかった相続人にも思いを伝える配慮ができます。
遺産分割の禁止、遺留分減殺方法の指定、相続人相互の担保責任の指定、相続人の廃除又は廃除の取消し、未成年後見人及び未成年後見監督人の指定など、さまざまなことが遺言書によってできますので、詳しくは「さくら相続相談センター」にお問い合わせ下さい。
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。それぞれの遺言のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
自筆証書遺言とは自分で遺言書を作成する方法です。
作成時に気を付ける点は以下の内容になります。
※検認とは、遺言書の内容を明確にして遺言の偽造・変造を防止するための手続きです。
遺言を発見した場合には、封を開けずにすみやかに家庭裁判所で検認の申立をしなければなりません。
公正証書遺言とは、2人以上の証人と公証人の前で口述し、公証人に遺言を作成・保管してもらうものです。3つの遺言の中で最も確実な方法です。
秘密証書遺言とは、自分で作成した遺言を、以下の手順で厳重に封をしたもののことです。遺言(ワープロ・代筆可)を封筒に入れ遺言と同じ印鑑で封印し、2人以上の証人と公証人に自分の遺言であることを述べ、遺言者・証人・公証人が封筒に署名・押印します。遺言の保管は、自分でするか、信頼のおける人に頼みます。
御自身やご家族の為に遺言書を作成したのに遺言書が発見されなかったり、必要な要件を満たしてなかった為に遺言書が無効になってしまったりする事を避けるためにも、一番確実な公正証書遺言にすることが望ましいでしょう。